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山岳ライター小林千穂さん 熊野古道伊勢路ブログ

【12日目】
井田~熊野速玉大社~熊野那智大社(距離約2.0km)

歩行距離:
約6.2km
行動時間:
約8時間35分
  • ※歩行距離はGPSログによるものです。いろいろ寄り道したところも計測されていますので、実際の距離とは異なります。
  • ※行動時間は歩行時間だけでなく、昼食や休憩、寄り道した時間も含みます。

伊勢路旅もいよいよ最終日となりました。

はなあそびのお父さん、お母さんに見送っていただき、最後の行程をスタート。

熊野速玉大社をめざします。

紀宝町の古道もみかんや

サトイモなどが売られていました。

マイヤーレモン畑を見ながら歩いて
ついに…

ああ、伊勢路も残すところあと2kmです。
内宮を出発したときに170kmだったのがうそのよう。

そして速玉大社の対岸熊野川のほとりまで来ました。

熊野三山を結ぶ熊野川は「川の参詣道」として世界遺産に登録されています。
川の世界遺産は世界でもここだけなのです。
そこで、伊勢路旅のフィナーレを飾るイベントとしてこの三反帆に乗せていただきました。

三反帆は細長い帆が特徴の帆かけ舟。
三反帆の体験ツアーを企画している「熊野川体感塾」へ向かいました。

体感塾では代表の谷上さんが古い時代は天皇も多くのお供を連れて熊野詣をしたこと、昭和に陸上交通が本格化するまで木材や炭などの物資運搬に川舟が重要な役割を果たしていたことなどを教えてくださいました。

川面は日差しが強いということで笠をかぶって

三反帆に乗り込みます。

先頭は庄司さん。

川を少し遡ってみごとな柱状節理が見られる場所に案内してくださいました。
柱状節理は火山岩が露出したところに見られるもので一般的には上の写真のように縦の柱状に割れ目ができています。

その柱状節理の断面が見られるめずらしい場所にも連れていってもらいました。
石垣みたい~。
このあたりは六角形のものが多いようですね。

周囲の景色を見ながら

徐々に下流へ。

国道や紀勢本線の橋も見えてきました。

紀勢 本線の橋をくぐったところで…

ばーんと

帆を張ってくれました。
今までは風向きが逆で帆を広げられなかったそうです。

風をはらんで優雅な感じです。
そして熊野川の対岸、速玉大社の入口近くに着きました。

庄司さん、速玉大社近くまで送ってくださってありがとうございました。
三反帆は、予約すれば熊野川巡りの体感ツアーに参加できます。

河原から上がるとすぐに熊野速玉大社。

伊勢を出発して12日目。

ついに目指していた熊野速玉大社に到着しました~!
ここでうれしいサプライズ。
伊勢路旅を支え、交代でいっしょに歩いてくださったスタッフのみなさんが揃って出迎えてくれたのです。

全行程を歩けたのはすべてみなさんのおかげです。
本当にありがとうございました。

境内を進み、拝殿へ。

ここでスタッフのみなさんといっしょに特別参拝をし、祝詞をあげていただきました。
その間、伊勢路での出来事を振り返るとともに無事に歩けたこと、とても充実した旅になったことを深く感謝しました。
でも、楽しい旅がこれで終わってしまうという虚無感も湧いてきました。
そんな時、参拝の最後に神職の方が、「伊勢路を歩いた経験をもとに明日からまた新しい一歩を力強く踏み出してください」というお言葉をくださったのがあたたかく心に響きました。

速玉大社に着いたことで、今回の伊勢路はゴールを迎えたのですが…

あれ?
なにこの階段~!
しかも急です。

そう、速玉大社には摂社の神倉神社があり、せっかくだから、みんなでそこにも行こうということになったのです。
神倉神社は、熊野大神が一番はじめに降りた場所とされる聖地なのです。

神社は神倉山にあり、そこへは500段を超える急勾配の階段を上らなければなりません。

最後の試練だ~。

息を弾ませて石段を上がり最上部に着くと

ゴトビキ岩という大岩の下に神社が祀られていました。
ここも磐座信仰の地なのですね。

ここからは新宮の街が一望できます。

足元には馬越峠でも見たアサマリンドウが群生していました。

神倉神社を下り、麓の町を歩いているとおもしろいものを発見。

え~!
千穂小学校?

なんと、このあたりは千穂という地名なのです。
おもしろいので、あとから調べたら神倉神社がある神倉山の主峰は千穂ヶ峯と言うのだそう。
そこからきた地名なのでしょう。
ちなみに千穂ヶ峯は、昔は鎮護(ちんご)ヶ峯と言われていて修験の聖地だったそうです。
ここに千穂ヶ峯があるなんて知らず旅の最後、すごい偶然に苦笑しました。

さて、この日はまだ少し時間があったのでスタッフのみなさんにもお付き合いいただき熊野那智大社にも行きました。
伊勢路をゴールしたとはいえ熊野三山にお参りをしないと私としてはスッキリしないので…。

スタッフさんの車に乗せてもらい20kmほど移動して那智へ。

那智の滝、大迫力ですね。
ここに来るのは2回目です。

またまた山を登って

熊野那智大社に来ました。
ここは神仏習合の修験の地であったため大社の横に青岸渡寺があり

そこからは三重塔と大滝という日本らしい景色を楽しめました。

熊野速玉大社と熊野那智大社にお参りしここでスタッフさんたちともお別れ。
翌日、ひとりで残りの熊野本宮大社へ行きました。

本宮大社の話は次回へ続く…。

なかなか終わらなくてすみません(笑)。