てくてく熊野古道 ミニガイド
「山海の郷紀勢」
5.紀州への玄関口 ~ツヅラト峠・荷坂峠~

熊野灘を望むツヅラト峠で、ひと休み。
九十九折(つづらおり)のような峠道が「ツヅラト」の語源。標高は357mで、熊野三山を目指す旅人が熊野灘を初めて目にする場所です。天然石を積み上げ、風雪に耐えて残された石垣や地元のボランティアの方々が掘り起こした当時の石畳など、歴史ロマンを感じる紀州への入口です。
峠には、熊野灘を一望できる東屋が。遠く海を眺めながら、山でのウォーキングに必要な水分やエネルギーを補給しましょう。中でも、体力維持のために効果的なのが、アメやチョコレートのようにすぐにエネルギー源になる糖類と、おにぎりやパンのようにゆっくりエネルギー源になるでんぷん類を組み合わせること。最低でも2時間に1度は糖質を摂ることが山ガールのオキテです。
近世の本道、荷坂峠で思いがけない出会い!?
伊勢路の開拓時には、「ツヅラト峠」だった本道が、江戸時代初期より「荷坂峠」になりました。特徴は他の古道と比べるとほぼ一直線で、石畳の道が全くないこと。昭和5年、難工事の末に完成した鉄道(紀勢本線)が、今も峠の近くを走っています。
荷坂峠を越えると、猪や鹿から田畑を守るために積み上げられた「猪垣」が並行して残っている道に出ます。
時おり、甲高い笛のようにピィーと鳴くのは鹿。思いがけない山の住人と出会うかもしれません。